道に迷ってみて、わかったことがある。
地図において、「私」(地図を見ている人)の立ち位置がいかに重要かということ。
道に迷ってみて、わかったことがある。
地図において、「私」(地図を見ている人)の立ち位置がいかに重要かということ。
最近はスマホで検索して目的地に行くことが多くなった。
スマホの地図では「私」の場所が常に更新され、
次はこっち、
次はこっちと方向が示されるため、
行きたい場所に簡単に辿り着くことができる。
しかし実際にはどこをどう歩いてきたのか、
その土地のどの辺りをどう移動したのか、
よくわかっていないことが多い。
だから歩いたものの、タクシーで連れて行ってもらったのと同様、
道を覚えなくなってしまった。
これまで地図は尺度の違い、描写の違いがあるだけで、
そうは違わないと思っていた。
しかし目的によって、略し方や描き方の重要なポイントがあることがわかった。
ある日スマホを忘れた私は、
駅に設置してある地図がいくらみてもわからず、
道に迷ったというより…その場から動けなくなってしまった。
駅にいながらなぜ動けなくなったのか。
それは地図に駅の出口が記されていなかったからだ。
今私が地図を見ている位置がどうしてもわからない。
そこはさほど大きくない駅なのだが、二つの出口がねじれた位置にあり、
駅前はどちらもそう特徴がない。
土地の人ならこっちは何通りに出る方角、
こっちは近くの別の駅に行く方角とわかるのだと思う。
しかし私には地図と目の前の風景を比べても、それがどっちの出口なのか、
さっぱりわからなかった(おまけに駅前は工事していて、目標物が欠けていた)。
この問題は地図だけではないと思う。
当たり前、とわかっていることを前提に作られたものは、
主語が欠けた文章のように、
いくら精密な描写があってもだめだ。
お店のチラシでそういうものがあった。
いろいろ書いてあるが、結局一番知りたいことがわからない。
写真を見ると美味しそうだけど、
そのコースはお得なのか損なのか、よくわからないのだ。
おまけに地図もついていなかった。
駅から3分とあるが、住所を調べてわざわざ行くのは結構面倒なことだ。
こういうときは、印刷する前にぜひ印刷屋さんに相談してみてほしい。
あとちょっとお金をかけるだけで、
お客さんの来る人数がぐっと変わってしまう。
商品に自信があるのならなおのこと、新しいお客様と永いお付き合いになる可能性があるのだから。
話は戻って…道に迷った日のつづき。
ひさしぶりに行ったその駅はすっかり変わっていた。
新しい鉄道が通り、改装され、以前の面影もなかった。
町に出て迷いながら雨の中を歩いて行くと、
古い町並みが残っていて、
野良猫が軒下で雨宿りしてくつろいでいる。
迷路のような小道と、昔ながらの商店街。
それを割くようにして、大きな道路と鉄道が交差する。
歩いていくと景観は少しずつ変わるのではなく、
突然に新旧の町が交互に現われる。
スマホを忘れてしまったためにさ迷ってしまったが、
野良猫の気分でちょっぴり楽しい散歩となった。